Googleが開発した「Google Bard」は、OpenAIが開発した「ChatGPT」は、よく比較されている存在です。
2023年12月には、Google独自生成AIの「 Gemini Pro」が搭載されたことにより、無料で利用できる生成AIの中でもその実力はどこまで通用するのか特に注目されています。
両者には、それぞれに得意分野や特徴があります。
しかし、Google Bardには、ChatGPTにはない独自の機能や性能が備わっており、その可能性は非常に高いとされています。
そこで今回は、Google Bardでしか出来ないことや、ChatGPTとの違い、Google Bardの今後の期待について、最新情報を交えて解説します。
- Google BardとChatGPTの違いって何?
- Google Bard上で、Gemini Proって日本語で使えるの?
- Google Bardは、どう活用したらいい?
Google Bardは、2023年最初にリリースされた当時は、ChatGPTに比べると精度の低い回答ばかりで使えない印象だったけど、Gemini Proが導入されてどう変わったんだろう。最新版は、無料で使えるみたいだしその実力と何に使えるのか知りたいな〜。
Google BardとChatGPTの最新の比較(2024年現在)
Google BardとChatGPTの基本情報
Google Bard
- リリース日
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Google Bardは2023年3月21日に米国と英国からリリースされました。
- 基本概要
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Google Bardは、Googleによって開発された対話型AIチャットボットです。
46言語に対応しています。(2024年1月時点)
- 主な機能(無料で利用可能)
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- 会話型 AI
- 質問への回答
- テキスト生成
- 画像生成(下記詳細記述)
- 言語の翻訳
- ブラウジング機能
- クリエイティブ コンテンツの作成(画像生成は、非対応)
- 画像読み取り機能(アップロード)
- 入力/出力トークン制限は、おおよそ1,000トークンとされている(ChatGPT無料版の約4分の1)
- 最新生成AIモデルGemini Pro搭載(無料で利用可能)
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現在のところ英語版のみ(2024年1月時点)搭載されています。
詳細は以下で説明しますが、Googleの言語設定を英語にするとGemini Pro搭載したBardを利用可能です。
日本語で質問することで、日本語の回答を得ることができます。
- 一番の特徴は、YouTubeアプリやGoogle Worksアプリとの連携(無料で利用可能)
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詳細については、後ほど解説しますが、YouTubeアプリやGoogle Worksのアプリとの連携が大きな特徴です。
- 2024年2月1日アップデート: 画像生成対応
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英語版(Gemini Pro搭載)のBard上で、英語のプロンプトのみ画像生成ができるようになりました。
プロンプトプロンプト:以下の条件で画像を生成してください。
画像主題:大きな目をしたかわいいチワワが満開の桜の道を歩いている
場所:日本の京都
色調:パステルカラー
スタイル:日本のアニメスタイル
「Generate more」ボタンを押すことで、さらに2枚の画像を生成します
ChatGPT
- リリース日
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2022年11月30日にリリースされました。
- 基本概要
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ChatGPTは、OpenAIによって開発された生成AIで、わずか2ヶ月でユーザー数が1億人を突破しました。
2023年5月には、iOS版とAndroid版のモバイルアプリもリリースされスマホ上でも気軽に利用できるようになっています。
- 主な機能
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- 会話型 AI
- 質問への回答
- テキスト生成
- クリエイティブコンテンツ生成
- 画像生成(DALL-E3)(有料版)
- 画像読み取り機能(アップロード)(有料版)
- ファイルアップロード機能(有料版)
- ブラウジング機能(Bing)(有料版)
- オリジナルカスタマイズGPT作成(有料版)
- GPTストアから様々なカスタマイズGPTを利用可能(有料版)
- プラグイン利用(有料版)
- API利用(有料)
- 入力トークン(128kトークン(有料版)/ 4,096トークン(無料版))
- 出力プットトークン4,096トークン
- スマホアプリ特有の機能
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- 音声認識機能により、音声を入力(聞き取り)し、音声での会話(入力、出力)で、質問、回答が可能
- 録音機能があり、音声を録音し、その内容を要約することが可能
- 最新大言語モデル(GPT-4 Turbo)
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- インプットトークンが最大128kトークンおおよそ英文300ページ分の文字量と同等
- 大言語モデルのデータを2023年4月までアップデート
- マルチモーダルAPI(複数のデータ種類)DALl-E3, GTP4V, TTS(text to speach)全てAPI可能
- 一番の特徴は、GPTストアのカスタマイズGPTs
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GPTストアから、様々なカスタマイズ GPTを利用することが可能で、利用シーンに合わせたオリジナルGPTを活用することができます。また、自分の利用に合わせたオリジナルのGPTも作成できます。
以下の記事で最新のChatGPTについて解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
ChatGPTをこれから使ってみようという方向けに解説している記事はこちらです。
ChatGPT無料版と有料版の違いについては、以下の記事で解説しています。
Google Bard 生成AIモデルGeminiの最新の機能と性能
Googleが2023年12月に発表した最新生成AIモデル「Gemini」は、テキスト、画像、音声、動画など、さまざまな種類のデータを同時に学習し、推論する能力を持ったマルチモーダル生成AIモデルです。
Geminiは、以下の3つのモデルで構成されており、それぞれ異なるタスク、使い方に分けてモデルが設計されています。
- Gemini Ultra
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最も能力の高いモデルで、非常に複雑なタスク用に設計されています。Googleは、2024年2月8日にGemini Ultra1.0を有料版でリリースしました。Google OneのプレミアムAIプランで利用することができます。
- Gemini Pro
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広範囲のタスクにスケールするために設計された中間モデルです。高度な推論、計画、理解能力を強化しています。Gemini Proは、業界標準のベンチマークで優れた性能を発揮し、いくつかのベンチマークでGPT-3.5を上回っています。2024年2月15日には、Gemini Pro 1.5の新バージョンが発表されました。最上級モデルのUltra1.0と同等のパフォーマンスで、開発者向けには100万トークンのコンテキストウィンドウになっています。
- Gemini Nano
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3つのモデルの中で最も効率的なモデルで、デバイス上でのタスク用に特化しています。Pixel 8 Proスマートフォンで導入されています。Gemini Nanoは、「Summarise(要約)」機能を持つRecorderアプリをサポートし、会話やインタビューなどの録音の要約を提供し、「Smart Reply(スマートリプライ)」機能を持つGboardでは、自然な会話調の返答を提案してくれます。これらの機能はネットワーク接続がなくても動作することで、Nanoモデルの効率性と独立性を強調しています。
Gemini Ultraの性能
Google Japan BlogGoogle Japan Blogの発表内容によりますと、以下のような結果を出しています。
「最先端のパフォーマンス」
自然な画像の理解から数学的推論、音声や動画の理解に至るまで、広く使用されている 32 の業界ベンチマークのうち 30 で、Gemini Ultra のパフォーマンスは既存の最高水準の結果を上回っています。
Gemini Ultra は、数学、物理学、歴史、法律、医学、倫理など 57 の科目の組み合わせて知識と問題解決能力をテストする MMLU (大規模マルチタスク言語理解) で 90.00% をスコアし、人間の専門家を上回るパフォーマンスを示した初のモデルです。
Google Japan BlogGoogle Japan Blog
Gemini Proの使うには?
Gemini Proを使う方法としては、現在のところ、Google Bard上で無料で使う方法と、開発者向けプラットフォーム上でAPI利用(一時的に無料→一般公開後有料)する方法があります。
Google Bardで使う(無料)2024年2月アップデート
Google Bardで利用するには、言語設定を英語に変更することでBard上でGemini Proを利用することができたのですが、2024年2月1日、Gemini Pro 搭載 Bard が Bard を利用できるすべての言語 に対応しました。
これにより、世界中のユーザーがより高度な生成AI機能を活用できるようになりました。
アップデート以前の英語版に切り替えて使う方法
英語(United States)が1番目に来て、日本語が2番目にある状態にします。
開発者向けAIプラットフォーム「Vertex AI」・「Google AI Studio」上でAPI利用
- 「Vertex AI」上で使う
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課金登録しているGoogle Cloud環境において、「Vertext AI」というWebアプリケーションを通して、Gemini Pro/Gemini Pro Vision(画像や動画)を使うことができます。注意点として、あくまでもAPI利用なので2024年1月現在のところ、一般公開されるまでは無料で使えますが、その後は課金となる予定です。
2024年1月時点での料金表
インプット/アウトプット タイプ API利用価格 インプット 画像 $0.0025 / 画像枚数 ビデオ $0.002 / 秒 テキスト $0.00025 / 1,000文字 アウトプット テキストアウトプット $0.0005 / 1,000文字 Gemini Pro Vertex AI上での利用 価格体系 Google Cloud公式ドキュメント:Pricing for Generative AI on Vertex AI
参照元:Pricing for Generative AI on Vertex AI- Vertex AI Studio へアクセス
- Try Vertex AI freeをクリック
- Google Cloudへログイン(アカウントがない場合は作成)し、 Vertex AI Studioへアクセス
- 「Google AI Studio」上で使う
-
1分あたり60リクエストまで利用可能。同じく注意点として、あくまでもAPI利用なので2024年1月現在のところ、一般公開されるまでは無料で使えますが、その後は課金となる予定です。
- https://ai.google.dev/ へアクセス
- Get API key in Google AI Studioのボタンをクリック
- ログインし、Google AI Studioへアクセス
Google Bardでしか出来ないこととは?
Google Bardは、Googleが開発したAIチャットボットであるからこそ、そのほかのGoogleの各種サービスとの連携した使い方ができます。
この機能は、ChatGPTでは、有料版でサードパーティーのプラグインやカスタマイズGPTを利用する必要があります。
無料で、直接Googleツールとの連携は、Google Bardでしか出来ません。
Google Bard 拡張機能の設定
Google各種ツールとの連携でできること
{ “@context”: “http://schema.org”, “@type”: “VideoObject”, “name”: “①Introducing Extensions ✨ | Bard”, “description”: “②Learn how Bard can help you do more with the Google apps and services you use every day – like Maps, YouTube, Gmail and more. Bard is now Gemini. Chat with Gemini at gemini.google.com”, “thumbnailUrl”: “③http://img.youtube.com/vi/lr87yrvK86w/default.jpg”, “uploadDate”: “④動画公開日時をここに入力(例:2023-09-19T18:30:28+09:00)”, “duration”: “⑤PT01M41”, “contentUrl”: “https://www.youtube.com/watch?v=lr87yrvK86w”, “embedUrl”: “https://aigakusyu.com/google-bard”, “interactionCount”: “⑦1,598,070” }YouTube Google チャネル 動画 「Introducing Extensions ✨ | Bard」
https://www.youtube.com/watch?v=lr87yrvK86w
Gmailとの連携
- 未返信のメールを抽出する
- 特定の送信者からのメールを抽出する
- 緊急性の高いメールを抽出する
- 抽出したメールの返信メールのドラフトを作成する
- 作成したドラフトをGmailにアウトプット(Gmaiを開く)する
- 会話内容の共有リンクを作成する
作成したドラフトをGmailにアウトプットする方法
現時点(2024年1月)では、メールの送信機能はないけど、
返信していないメールを探して、返信文を作成する使い方がメインになりそうだね。作成した返信文をGmailにアウトプットできるのは、便利!
Google Docsとの連携
- Googleドキュメントのファイルから特定のファイルを探す
- 特定のドキュメントファイルの内容を要約する
- 特定のファイルについて質問する
- 会話内容をGoogle Docsにアウトプットする
- 会話内容について共有リンクを作成する
Google Driveとの連携
- Google Driveから特定のファイルを探す
- 特定のファイルの内容を要約する
- 特定のファイルについて質問する
- 会話内容をGooogle Docsにアウトプットする
- 会話内容について共有リンクを作成する
- 要注意:Google Docs, Google ドライブにおいて、個人情報やファイルの共有リンクを貼り付けないこと
- 共有リンクを貼り付けなくても、Bardはドキュメントをサーチして情報を抽出してくれます
Bard内でドキュメントファイルのアップロードが出来ないので、ドライブやGoogleドキュメントに情報ファイルをまとめておき、必要な情報を抽出したりする使い方がいいね。
Google フライトとの連携
- 旅行計画を立てるため、フライトオプションを調べる
- 特定のフライトの空席状況を調べる
- 調べた内容をGoogleドキュメントへアウトプットする
- 調べた内容について共有リンクを作成する
Google ホテルとの連携
- 旅行計画を立てるため、ホテルオプションを調べる
- 特定のホテルの空室状況を調べる
- 調べた内容をGoogleドキュメントへアウトプットする
- 調べた内容について共有リンクを作成する
Google マップとの連携
- 行きたい場所への経路を調べる
- 口コミの良い場所(レストラン、カフェなど)を探す
- レビューの信頼性が低いかどうかを調べる(サクラ口コミの可能性)
- 行き先の天候、天気予報を調べる
- 行き先の交通情報を調べる
YouTubeとの連携
- 希望のジャンルの人気動画を調べる
- 特定の動画(人気動画など)の投稿日や視聴回数をリサーチする
- リサーチした内容を元に傾向を調べてもらい、どのような動画が再生回数が伸びそうか分析する
- 2024年1月現在で、Google各種サービスとの連携は、個人アカウントでの利用可となっています。企業等で導入している有料のGoogle Workspaceを利用しているアカウントでは、連携できません。
- 1度の質問に1つの拡張機能しか使えません。
ダブルチェック機能
2024年2月1日、Bard の回答のダブルチェック機能が 日本語を含むより多くの言語で利用可能になりました。
回答の下の「Googleロゴのボタン」を押すことで、回答の精度を再確認してくれます。
ダブルチェックの結果については、グリーンの線は、裏付けの取れているウェブサイトのリンクが貼り付けらており、アクセスして確認することも出来ます。
オレンジの線がある場合は、裏付けされたウェブサイトのリンクは見つからないので、ハルシネーションを引き起こしている可能性が高いことを表します。
グリーンのラインについて、ウェブ上の参照されている情報が必ずしも正しいと限らない点にも注意する必要がありますが、オレンジの部分については、ハルシネーションの可能性があるという点を一目でわかるのがとても便利です。
まとめ:Google BardとChatGPTの比較表と今後の展望
Google BardとChatGPTの違いを理解するための比較表を作成
比較ポイント | Google Bard(Gemini Pro版) | ChatGPT(無料版) | ChartGPT(有料版) |
---|---|---|---|
長文ドキュメント アップロード | Bard上で直接、ドキュメントファイルのアップロードは、不可。 Google Worksとの連携にて、Googleドキュメント上を読み込み可能 | インプットトークン4k | インプットトークン128kまで対応可 約300pページ分 |
画像生成 | Bard上で生成可能(2024年2月1日にアップデート)(英語版で英文プロンプトによる生成のみ対応) 開発プラットフォーム Vertex AI上で、Gemini Pro Vision や画像生成AIモデル「imagen2」をAPI利用することで可能 | 不可 | 可(DALL-E3) |
画像アップロード&読み取り | 可 | 不可 | 可 |
ブラウジング機能 | Googleのリアルタイム検索による最新情報収集が可能 | 不可 | MicrosoftのBingによりリアルタイム検索による最新情報収集が可能 |
回答の速さ | 速い | 非常に速い | 非常に遅い |
Gmail, Google Map, Google Docs, Google Drive, Googleフライト, Googleホテル, Googleマップ, Youtubeとの連携 | Google各種ツールと簡単に連携可 | ChatGPT上では、不可 API連携 | GPTsやプラグインなど利用して可 API連携 |
質問への回答 | 3つのドラフトを作成 | 1つのみ | 1つのみ |
ブログ記事作成 | 一回で完結し、ChatGPTのように途中で途切れて「続けてください」をする必要がない 文章の中で、箇条書きを多用 ChatGPT無料版よりも優秀な印象 速度は、速め。 | 有料版と同様に文章の途中で途切れるが、有料版に比べて、生成文章の精度が低い。速度は速い。 | 長文構成の文章を作成してくれるが、アウトプットトークンが切れて途中で途切れてしまう。続けるボタンを押す必要があり。この点を除いては、3つの中では、一番精度が高い印象。速度は遅い。 |
日本語への翻訳 | 精度高め | 誤訳、直訳多め | 精度高い |
モデルのカスタマイズ | 不可 | 不可 | オリジナルGPT作成可能 GPTストアから、クリエイター作成のカスタマイズGPTを利用可能 |
ChatGPTとの違いから見る、Bardの強み
- Gemini Proが無料で利用できる(ChatGPT無料版よりも多くの機能あり)
- Google各種サービスとの連携
- Gmailを確認し、Gmailの返信ドラフト作成→3つのドラフトが作成される(ChatGPTでは、1つだけ)
- 行き方を調べてGoogle Mapで表示する
- YouTube動画を検索してもらったり、動画の情報を分析してもらう
- GoogleフライトとGoogleホテルを使って旅行の計画を立てる
- Google DocsやGoogle Driveのドキュメントなどの内容を要約したり、内容について質問する
- 無料版のChatGPTより精度の高い文章を生成
Google Bardで今後期待されること
Gemini Proが導入されているGoogle Bardは、無料で使えるという点が非常に大きいメリットとなっています。
無料版を利用したい方にとっては、ChatGPT(無料版)よりも多くの機能があり、かつ文章生成についてもより精度が高いものになっています。
しかし、ChatGPT有料版と比較すると、文章の精度の高さだけでなく、画像生成や拡張性やカスタマイズできる点などでChatGPT有料版が優れている印象です。
Gemini Proは、Googleが開発生成AIの3つのモデルの中で、中間モデルでそれでもこれだけ可能性を見せてくれているので、その最上級モデルの「Gemini Ultra」は、どれだけのものか期待が膨らみます。
2024年初旬に、Googleが開発する生成AIの最上級モデルのGemini Ultraが、Google Bardに「 Bard Advanced」という形で導入される予定と発表されています。
Gemini Ultraは、ChatGPT有料版の最新モデルGPT-4Vを超える精度ではとも言われており、それをBardで使えるようになることで、高精度で複雑なタスクに対応可能になることが期待されます。
今後、Gemini UltraやBard Advancedがリリースされ次第、比較解説をしたいと思います。
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